引き取り業者(相続コラム62)

不動産相続について

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三寒四温と、まさに春の陽気です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。


日本全国にある、「持て余している不動産」

山林であったり、畑などの農地であったり、別荘であったり、
使う予定はないけど相続して、よく考えたら管理も大変…
「相続放棄しておけばよかった」などという不動産がたくさんあります。

一度自分の名義にしてしまった場合、所有権を放棄することはできませんので
売却するしか方法がありません。逃げられないのです。

普通に売れるのであれば何も問題はありませんが、
買い手のつかない田舎の土地が、今とても深刻な問題になっています。



このような不動産を持ってしまった場合どうすればいいのでしょうか。
ただでもいいから引き取ってもらう、場合によってはお金を払ってまで。
これは買い取り業者さんとは違います。買取りの場合は安くても値段が付きます。
ときにマイナス査定になる場合もありますが、基本的には値段が付きます。

世の中には「ただ(0円)」でも引き取り手のない不動産が多数存在しています。
貸すことも売ることもできずに、毎年の固定資産税を支払うことしかできない不動産。


今までだと、相続はしても登記をせずに放置しておくことが可能でしたが、
来月から「相続登記義務化」が施行されますので、放置することができません。

相続を放棄するか相続して不動産を売却するか
買い手が見つからない場合には、引き取り業者に引き取ってもらうか
「相続土地等の国庫帰属法」を申請するかの2択でしょうか。


この場合にはそれ相応の費用がかかることになります。
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引き取り業者というのは聞いたことがないかもしれませんが、何社か存在しています。
私たちが取引しているのは信頼できる会社で、
引き取りの場合のお見積りを書面で提出してくれます。
どんな費用がかかりその総額はいくらになるか明らかになっています。
その後の管理費、固定資産税等の負担などを考えて、
引き取りをお願いするケースが増えているようです。


『遊休資産を0(ゼロ)へ。
日本全国にある未利用、低利用の土地や建物を引き取り、
不動産資源を活用できる環境を再構築し、日本社会に持続的に貢献します。』
という理念を掲げて活動されています。


もう一つの方法が、昨年施行された「相続土地等の国庫帰属法」です。
一定の条件を満たした土地を国に管理費等を支払って引き取ってもらう制度でした。
古家があれば解体更地にして、測量をして、申請をして審査が通れば、
負担金を支払って国庫に帰属させる制度です。


土地の筆数や建物の大きさ土地の大きさなどによってかかる費用が変わりますが、
数百万円の単位になるケースが多いのではないでしょうか。

まだ具体的な運用のお話しは周りでも聞いたことがありませんが、
民間事業者の引き取りよりも要件が厳しく設定されています。

そのような不要な不動産を相続しない方法として、
不要な不動産に関しては、親が生きているうちに処分してもらうのが一番です。

それができなかった場合には「相続放棄」という選択肢もあります。
ただしこの場合「現金は欲しいけど不動産だけ要らないから放棄したい」とはいかず、
全てを放棄する必要があります。

放棄を検討するには、プラスの財産とマイナスの財産を慎重に比較検討する必要があります。
最終的に相続することになった場合には、
引き取り業者にお願いするか、相続土地等の国庫帰属法を申請するか、
或いはそのまま持ち続けるのか。
持ち続けると、その不動産は自分の子供世代に残すことにもなりますので、
将来的な負担を考慮すると選択肢は限られてくるのではないでしょうか。
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そう簡単に結論が出ないかもしれませんが、
ご相談いただければご一緒にいろいろな選択肢を検討いたします。

毎月第2金曜日に桐生市商工会議所で開催している「相談会」でも、
様々な相談をお受けしていますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。





この記事を書いた人

伊藤明灯戸

不動産業界に30年以上。
相続に関しての相談実績が豊富で、家族信託を得意としています。
財産の管理を行うステージ、財産の承継を行うステージに分けて問題点を抽出し
家族構成、資産構成に合わせご提案をしています。
宅建士、コンサルティングマスター、相続対策専門士、家族信託コーディネーター。
悩んでいることがありましたら、ぜひ聞かせてください。