さまざまな手続き(相続コラム64)

不動産相続について

本日は人が亡くなった時の手続きについて説明します。

家族の死に際して一定の時間の中で様々な手続きが必要になります。
皆で家族の死を悲しむというわけにもいかず、誰かはこの手続きに奔走しなければなりません。

最近は書店などでも詳しく解説した書籍が置かれていますので、
ここではざっくりとご説明します。
さまざまな手続き(相続コラム64)の画像1
①死亡診断書
これは、死亡を確認した医師に書いてもらいます。
日時や死亡理由などを記載して当日もしくは翌日には出されます。

②死亡届・火葬許可申請
亡くなった方の住所地の市区町村役場に届出をして火葬許可をもらいます。
葬儀社にて葬儀を行う場合には、葬儀社が代行してくれます。

③葬儀社を決める
故人の意思などで予め決まっている場合は問題ありませんが、
急死されたような場合にはできるだけ早く決める必要があります。
一般的な親族や知人に集まってもらうスタイルから、コロナ禍を経て
家族葬という身近な家族だけの少人数の形式、火葬のみを行う直葬など
さまざまな選択肢が増えています。

④公的な手続き
年金受給停止、健康保険(介護保険)資格喪失、死亡一時金請求、埋葬料請求、
高額な医療費を支払った場合には高額医療還付請求、遺族年金手続き…
期限の決まっているものがほとんどなので、それぞれの手続きごとに
決められた期限の中で手続きをすることになります。

⑤遺産相続のための手続き
ここではたくさんの書類を集め、さまざまな手続きが必要になります。

・被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)
親の死に際して子がこれを申請する場合、本籍地が異動していないケースであれば簡単ですが、
複数回異動している場合には集めるのに苦労します。
そもそも親がどこで出生したか知っているケースが少ないように思います。
その場合には直近のものから追いかけていくことになります。
市区町村の統廃合などもあるのでかなりの難易度です。

私も父の死に際してこの手続きを行いましたが、役所の方がとても親切に対応してくれて
非常に助かった記憶があります。
なぜここまでしてこの書類が必要なのか?
これは相続人を特定するためです。

家族の知らない「隠し子」がいたケースでも、認知していれば戸籍に残ります。
この後行うことになる遺産分割協議のメンバーを特定します。

銀行や法務局での手続きには必要になります。
場合によっては原本を提出することになるので少し多めに準備することがおすすめです。

・遺言書の確認
被相続人が遺言書を遺していた場合にはそれを探します。
誰が何を相続するのかが分かっていれば遺産分割協議は不要になります。

・銀行口座の凍結・払い戻し
死亡した旨を銀行などに連絡すると、まずは凍結をしてくれます。
その後相続手続きのための必要書類等を案内する書面が送られてきます。
その案内に従って解約手続きを進め、相続人の口座に振り込む形で払い戻しが終了します。
場合によっては口座名義の変更を行ってくれる銀行もあります。

・不動産の名義変更
不動産名義を変える必要があります。
2024年4月1日から「相続登記義務化」の制度が開始しますので、
必要書類を整えて申請手続きをするか、登記の専門家である司法書士に依頼します。


・相続税の納税
相続税は10か月以内に納税する必要があります。
遺産分割で争いがある場合などには特にご注意ください。

・生命保険金の受けとり請求
生命保険などに加入していれば、受取人から保険会社に連絡をして死亡保険金などを請求します。
これは遺産ではないので遺産分割で揉めていてもすぐに受け取れます。
さまざまな手続き(相続コラム64)の画像2

このようにたくさんの手続きをしていくことになります。
悲しみに浸っている暇もないくらいにやるべきことがたくさんあります。

葬儀の参列者に香典返しをするとか、親しくしてくれていた方に形見分けをするとか
お寺さんへ連絡したり、新規にお墓を購入する場合には見学に行ったり、
手続き以外にもたくさんやることがあります。

事前に様々なことを話し合って、できることなら「終活」をしておくことが
残された家族への愛情ではないでしょうか。



桐生市にお住まいの方であれば下記のリンクから質問に答えると必要な手続きを
案内してくれる「おくやみ手続きナビ」というサイトにアクセスできます。


https://www.okuyaminavi.net/municipalities/10203


この記事を書いた人

伊藤明灯戸

不動産業界に30年以上。
相続に関しての相談実績が豊富で、家族信託を得意としています。
財産の管理を行うステージ、財産の承継を行うステージに分けて問題点を抽出し
家族構成、資産構成に合わせご提案をしています。
宅建士、コンサルティングマスター、相続対策専門士、家族信託コーディネーター。
悩んでいることがありましたら、ぜひ聞かせてください。