持ち家について(相続コラム60)

不動産相続について

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本日お話しするテーマは持ち家について。

住宅雑誌などで定期的に特集される『持ち家VS賃貸』
賃貸は家賃をいくら支払っても自分のものにならないから持ち家がいい!
35年もローンを組むなんて考えられない、いつでも好きな時に引っ越しができる賃貸!
私も、不動産コンサルティングの場面でよく聞かれることですが、
万人にとっての正解はありません!」とお話しします。

それぞれにメリットとデメリットがあって、人それぞれ正解は違うのです。
同じ人であっても、状況によって(時期によって)正解が変わることがあります。

「何を大事にしたいのか、どう暮らしていきたいのか」を一緒に考えます。
「上がりそうだから今のうちに買いたい」「金利が安いうちに買いたい」
微妙にポイントがずれている方には冷静に考えてもらいたいところです。


さて、なぜ持ち家のお話しかと言えば、ここ最近の数字として、
65歳以上の持ち家の比率が80%を越えているという統計データを見ました。
数にして1100万世帯ほどとなっています。

歳をとって賃貸というのは収入の問題や孤独死の問題など、
高齢者特有のリスクを考え敬遠するオーナーさんが多いので、そもそも賃貸の比率は下がります。
また、親の家を相続して住むケースもあります。

このように高齢者は持ち家なので、亡くなった後にその家をどうするかという問題が発生します。
或いは一人暮らしが難しくなって、入院したり施設に入ったり、

いずれにしても「今まで住んでいた家をどうするか」という問題が残ります。
私たちが日々扱っている空き家の相談はこのように発生しているのです。


あらかじめ親子間で話し合うことを強く推奨していますが、
なかなかそう簡単ではないのでこの問題が生じるのですが、
時間が経てば経つほど様々な条件が不利な方向にはたらいていきます。
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空き家の解決方法について、選択肢は大きく3つでしょうか。
①相続した人が住む
②売却する
③賃貸に出す

①の相続人が住むケースではそれほど問題はありません。

②売却するケースはどうでしょう。
高く売ろうと思えばきれいに直して荷物を片付けて売却する必要があります。
手入れが行き届いていない場合、リフォーム代で数百万円かかります。
荷物の片づけは大変な労力が必要ですし、業者に依頼すると費用も掛かります。

このようなケースでは、いろいろなことが先送りになりがちです。
「お金が用立てられたらリフォームしよう、そのうち片付けよう」となってしまい
その場合には数年、場合によっては10年以上放置されてしまうことも少なくありません。
その間は固定資産税や庭木の剪定費用といったコストがかかり、
空家であることで管理が行き届かなくなり治安は悪化し近隣に迷惑がかかり、
街全体が活力を失い人口が減り行政としても住民税が入ってこないので困ってしまいます。


③賃貸に出す場合の問題点としては、
貸せる状態にするための前述した費用と労力。
そこまでしていくらで貸せるのか?かけた費用を回収するのに何年掛かるのか?
お金はかかるのに回収できないとなるとモチベーションが下がり放置されてしまいます。


高齢者の持ち家比率は80%を超えている一方で、
相続人が住まないケースでは様々な障壁があるため放置される結果になり、
空き家に繋がってしまうというのが今の空き家問題の原因ではないかと思います。



高齢化が進み、空き家問題が深刻になってる今でも、
新築着工戸数と古い家の解体数の比較では断然新築着工戸数の方が多い状況です。
これも空き家問題に拍車をかけています。
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高齢者にとって快適な住まいとは何かを考え、
持ち家を売却して高齢者の生活のしやすい住まいに住み替える選択肢が必要です。



『高齢者の住み替え』について詳しいスタッフのいる私たちにぜひご相談ください。



この記事を書いた人

伊藤明灯戸

不動産業界に30年以上。
相続に関しての相談実績が豊富で、家族信託を得意としています。
財産の管理を行うステージ、財産の承継を行うステージに分けて問題点を抽出し
家族構成、資産構成に合わせご提案をしています。
宅建士、コンサルティングマスター、相続対策専門士、家族信託コーディネーター。
悩んでいることがありましたら、ぜひ聞かせてください。