親の財産を守る(相続コラム59)
株価が高くなり毎日ニュースで取り上げられています。
昨年9月末時点で個人金融資産が2121兆円と発表されていますが、
株高の影響でさらに膨らんでいる様子です。
新NISAなどの影響もあって投資意欲が旺盛になっているようにも思います。
一方で、警察庁が発表した特殊被害の統計では、
昨年の特殊詐欺被害の認知件数が2万件に迫り、被害金額は441億円を超えました。
被害額はここ最近、過去最高を更新し続けています。
テレビなどで取り上げられるケースも多く、銀行などでも啓発活動が盛んです。
それであるにもかかわらず件数も金額も増え続けている現状…
詐欺をはたらく人数が増えていて、手口が巧妙になっているのも事実です。
それでも過去最高を更新するという点に着目すると、
いかにして未然に防ぐのかを今一度考え直す必要があると思います。
騙す側が悪いことに疑いはありませんが、
騙される側にできることはないのでしょうか?
私は比較的簡単に防げるのではないかと考えています。
このコラムでも何度もお話ししていることですが、
判断能力が衰え始めると騙されてしまいます。
本当によく考えられた話術を駆使して騙しにかかりますので、
「気を付ける」というような話ではなく『財産の管理を子供に任せる』これに尽きると思います。
そもそも高齢者が自分の手元で管理しているから被害に遭ってしまうのではないでしょうか。
親子で協力して管理することができれば、未然に防げる可能性が高まると思います。
日常のお金は親が自分で管理し、普段必要にならないまとまったお金の管理を子供に任せる。
それほど難しい話ではないように思いますが、これがなかなかできていません。
以前、親が詐欺被害に遭ったのを機に「何か良い方法はないでしょうか」と、
ご相談を受けたケースがありました。
前述の方法をお伝えして、大きなお金の管理を子供に任せるということで、
親も子も「簡単なことなのになぜ気が付かなかったのか」と話されていました。
先程の警察庁発表の数字は、認知されて事件になった件数であり金額です。
騙されたことに気づいていない場合、被害届を出していない場合は、この数字に反映されていません。
そう考えるとまだまだ実際の被害は多いように思います。
なにかのタイミングで話し合うにはいいきっかけになると思うので、
「お父さん・お母さんが詐欺被害に在ったら大変だから」と切り出してみるのはいかがでしょうか。
そこを突破口にして、親の身上監護や財産(預貯金や不動産)の管理承継について、
話してみることをお勧めします。
どの時点で判断能力が衰えるのかは、誰にもわかりません。
子どもは定期的に親と話をしながら、何か違和感を感じたら、
すぐに対策を考えるようにするといいのではないでしょうか。
親は子どもを信頼して様々なことを相談すべきだと思います。
難しいことは専門家を交えて。
この記事を書いた人
伊藤明灯戸
不動産業界に30年以上。相続に関しての相談実績が豊富で、家族信託を得意としています。
財産の管理を行うステージ、財産の承継を行うステージに分けて問題点を抽出し
家族構成、資産構成に合わせご提案をしています。
宅建士、コンサルティングマスター、相続対策専門士、家族信託コーディネーター。
悩んでいることがありましたら、ぜひ聞かせてください。